半凝固ダイカスト法により製造されたAC4CHアルミニウム合金鋳物における溶体化処理条件と組織及び引張特性との関係
本研究ではアルミニウム合金の中でもAl-Si-Mg系の合金であるAC4CHアルミニウム合金の半凝固ダイカスト材を実験試料とし検討を進めた。
AC4CH合金は鋳造用合金の中では中強度であるが、伸びが大きく靱性に優れ鋳造性も良好であり、さらにAC7Aに次ぐ良好な耐食性を有する合金である。このため一般に機械部品用としても多く用いられている。また、溶体化処理後、時効処理を施すことにより大きな強度が得られることも知られていおり、一般には、このようにして用いられている。
1. 半凝固ダイカスト法とは
鋳造技術は各種部品を製造する際、他の工作法に比べ少ない工程数で最終形状に近い製品を得られるため、部品の低コスト化が強く推し進められる各種産業界において重要な技術である。しかし、高い強度が要求される部品にはあまり用いられなかった。それはAl合金の鋳物は引けが発生しやすく、十分な強度が得られないためである。この問題点を解消するためいくつかの鋳造法が開発されており、その1つに半凝固ダイカスト法がある。
一般の鋳造法では、完全な液相状態の溶湯を使用するのに対し、半凝固ダイカスト法では以下の特徴を有す
1) 低温の半凝固状態で金型に鋳込むため凝固収縮量が減少し引け傾向が減少する。
2)
3) 冷却速度が速まり微細な組織が得られ内部欠陥を低減でき、機械的性質に優れた製品を製造できる。
4) 半凝固状態で鋳こむため、粒状の均一な組織を得ることができる。
このように、半凝固ダイカスト法は、従来の鋳造法に比べ、多くの利点がある。前述のように、半凝固ダイカスト法により形成された微細組織は、通常の鋳造組織と異なるいくつかの特徴を有するので、溶体化および時効処理などの熱処理に際しても、特徴的な変化を示すことが予想される。
しかし、半凝固ダイカスト鋳物の熱処理に伴う機械的性質の変化に関しては今まで良く研究されていない。よって本研究では、この半凝固ダイカスト法にて製造されたAC4CHアルミニウム合金に溶体化処理を施し、それによるマクロおよびミクロ組織の変化と引張特性との関係を明らかにすると共に、引張特性に関して最適最も効果的な溶体化条件を検討する事を研究目的とした。